大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成元年(ワ)16063号 判決 1992年10月29日

原告

株式会社初穂

右代表者代表取締役

豊島幹男

右訴訟代理人弁護士

泉信吾

若梅明

松戸勉

大橋毅

被告

株式会社落合商店

右代表者代表取締役

落合次郎

右訴訟代理人弁護士

宮川光治

倉田大介

右訴訟復代理人弁護士

芹澤真澄

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一被告は、原告に対し、別紙物件目録(二)記載の建物(以下「本件建物」という。)を収去して同目録(一)記載の土地(以下「本件建物」という。)を明け渡せ。

二被告は、原告に対し、平成二年一月二六日から右明渡済みまで一か月金一二万一六〇〇円の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、原告が、被告に対し、本件土地所有権に基づき、本件建物収去・本件土地明渡しを求めるとともに、不法行為による損害賠償として、訴状送達の日の翌日から賃料相当損害金の支払を求めているものである。そして、被告は、占有正権原として、原告と落合次郎(以下「落合」という。)間の借地契約、落合と被告間の転貸借、後記争点1の各主張をし、用法違反であるから解除するとの原告の主張に対しては争点2の各主張をしている。

一争いのない事実等

1  本件土地は、もと恩田三吉(以下「三吉」という。)の所有であったところ、その後、所有者がかわり、平成二年一月二六日(訴状送達の日の翌日)以前から原告が所有している。

2  被告は、平成二年一月二六日以前から、本件土地上に本件建物を所有して、本件土地を占有している。

3  本件土地の平成二年一月二六日以降の相当賃料額は一か月一二万一六〇〇円である。

4  落合は、昭和四一年当時、三吉から、本件土地を非堅固建物所有目的で賃借していた。

5  被告は、昭和五九年九月頃、落合から、本件土地を堅固建物所有目的で転借した(以下「本件転借」という。)。

6  被告は、昭和五九年九月頃から昭和六〇年四月頃にかけて、本件土地上に堅固建物である本件建物を建築所有した。

7  原告は、1のとおり、本件土地の所有権を取得して、本件土地についての賃貸借契約の賃貸人たる地位を承継していたが、落合に対し、平成二年一〇月三一日到達した書面をもって、右賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

8  訴状送達の日の翌日は平成二年一月二六日である。

(右1ないし4、6、7の事実は争いがなく、右5の事実は<書証番号略>及び被告代表者の供述により認められ、右8の事実は記録上明らかである。)

二争点(次の被告の主張が認められるか。なお、1、2の各(二)以下の主張は前者が認められないときは、という予備的なものである。)

1(一)  三吉は昭和五九年七月頃落合に対し本件転貸について承諾した。

(二)  三吉は昭和六一年三月頃本件転貸について黙示の承諾をした。

(三)  本件転貸について背信行為と認めるに足りない特段の事情がある。

(四)  本件転貸を理由とする賃貸借契約の解除は権利の濫用であって許されない。

2(一)  三吉と落合との間において、昭和四一年暮れ頃、本件土地の賃貸借契約について非堅固建物所有目的を堅固建物所有目的に変更する旨の合意が成立した。

(二)  三吉と落合との間において、昭和四二年一〇月三〇日頃(遅くとも昭和五九年)までに、本件土地の賃貸借契約について非堅固建物所有目的を堅固建物所有目的に変更する旨の暗黙の合意が成立した。

(三)  三吉は、昭和五九年七月頃、又は同年秋頃、被告が堅固建物である本件建物を建築することを承諾した。

(四)  三吉は、昭和六〇年四月末頃までに、被告が本件建物を建築することを黙示に承諾した。

(五)  本件土地上にあった建物が取り壊され、その跡に堅固建物である本件建物が建築されたのに、三吉がこれについて遅滞なく異議を述べなかったことにより、借地法七条に基づき、本件土地についての賃貸借契約は堅固建物所有目的となり、用法違反の問題は生じない。

(六)  用法違反を理由とする解除は権利の濫用であって許されない。

第三争点に対する判断

一<書証番号略>、被告代表者の供述、証人恩田秀郎の証言及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。

1  落合は、伝動要品の販売などの業を営んでいたところ、昭和二二年に右営業を会社組織にし合名会社落合商店を設立し、次いで昭和三五年二月に株式会社新光鋳工所を設立し、代表者としてその経営にあたっていたが、昭和四四年一〇月頃、同社の商号を株式会社落合商店と変更したうえ、同社に合名会社落合商店を合併し、その代表取締役となって現在に至っている。被告は、昭和四八年から資本金一億円であり、伝動要品の業界では大手で、本社の他に三支店があり、取締役は七名である(落合のほかに、同人の家族、その他の者で構成されている。なお、平成元年一一月からは落合の長男も代表取締役に就任している。)。

株式は、形式上、三八、九パーセントが落合名義、五、六パーセントが社員名義、その余が落合の家族名義になっているが、実際の出資は全部落合がしたもので、実質的には落合が一〇〇パーセント所有している(社員名義のものについては退社時に名義を返還することになっている。)。合名会社落合商店、株式会社新光鋳工所、株式会社落合商店(被告)の経営の実権は一貫して落合が掌握してきた。落合は、自分と被告とを一体と考え、個人と会社とを区別しておらず、本件転貸についても自分が利得することを目的としたものではなかった。三吉の代理人の恩田秀郎(三吉の娘婿。以下「秀郎」という。)においても、落合個人と被告とを区別して考えていなかった。

2  落合は、昭和二二年五月頃に本件土地の一部(23.66坪。以下「甲土地」という。)を三吉から賃借して建物を建築し、合名会社落合商店の店舗として利用していたが、昭和二六年六月頃に本件土地の一部(35.90坪。以下「乙土地」という。)の借地権(地主は三吉)及び同土地上の建物を、更に昭和三五年五月頃に本件土地の一部(48.5坪。以下「丙土地」という。)の借地権(地主は三吉)及び同土地上の建物を買い受け、右各建物(木造建物)は、落合の住居、同社の店舗・倉庫として利用されていた。

落合は、昭和四一年頃他所(本件土地付近)に転居したため、その後は合名会社落合商店だけが右各建物を利用するようになった。

3  本件土地が面する昭和通りを拡幅するため甲土地及び乙土地の各一部が買収された頃の昭和四一年七月、三吉と落合は、木造建物の敷地に使用する目的で賃借したもので、その他の目的(堅固な建物の敷地など)に使用することはできない、賃貸借期間は昭和四二年五月から昭和六二年五月までの二〇年間、借地権の存続期間は既存建物の存続と関係なく、期間満了と同時に借地権は消滅するものとする(ただし、この場合、双方協議のうえ更新することができる。)、とする甲土地についての賃貸借契約書、賃貸借期間は昭和二六年六月から昭和四六年六月までの二〇年間、使用目的・借地権の存続期間は右と同様、とする乙土地についての賃貸借契約書、賃貸借期間は昭和三五年五月から昭和五五年五月までの二〇年間、使用目的・借地権の存続期間は右と同様、とする丙土地についての賃貸借契約書を取り交わした。

4  落合は、右道路拡幅に伴い、前記2の各建物を取り壊し、その跡に建物を建築することにしたが、本件土地を含む周辺の土地は、防火地域・商業地域に指定されていたため、落合は、本件土地には堅固な建物しか建てられない、本件土地についての賃貸借契約は堅固建物所有目的になり、賃貸借期間は六〇年になったと理解し、道路が拡幅された時点から、そのことを公言していた。そして、秀郎は、落合がそのように考え、述べていることを知っていた。

落合は、昭和四二年二月本件土地上の建物の建築確認を得、その建築工事は、その頃着手され、同年一〇月三〇日頃完成し、右建物について、落合のために、昭和四三年四月一〇日受付で所有権保存登記がなされたが、この建物は、登記簿上、鉄骨造陸屋根スレート交葺二階建倉庫作業所会議室一階195.25平方メートル二階187.53平方メートル(以下「旧建物」という。)となっていた。旧建物は、落合が合名会社落合商店に使用させる目的で建築したものであり、同社が一階部分を倉庫・作業所・事務室、二階部分を会議室・社員寮として利用していたが、一階部分が二階分の高さになっているため実質三階建で、外壁はラス張りセメントモルタル塗りであった。一階部分には、二トン用のモノレール式天井クレーンが設置されていて、そのクレーンで二トンまでの重さの物品を吊り下げて運搬し荷役作業を行っていた。鉄骨は重量鉄骨が用いられ、建物の基礎にコンクリートが打たれ、杭も相当深く打ち込まれた。一階部分には何百トンもの鋼材を置いていたため、その床にも厚くコンクリートが打たれた。

旧建物は、合名会社落合商店が、次いで被告が、倉庫・事務所等として使用していた。

秀郎は、昭和四〇年頃から、地代取立てのために、三か月に一回二、三日かけて、本件土地周辺の約三〇人の借地人のもとを訪れていた。旧建物は昭和五九年九月頃まで本件土地上に存したが、旧建物(の建築)について、三吉側は、何らの異議も述べなかった。

5  被告は、昭和五九年九月、建設会社との間で、本件建物について代金一億七七〇〇万円の建築工事請負契約を締結し、同月一一日建築確認を得、工事は、同月一三日頃着手され、昭和六〇年四月三〇日頃完成し、本件建物について、被告のために、同年六月五日受付で所有権保存登記がなされた。

右建築確認申請をする三〇日以上前から、工事現場の仮囲いの外側に、お知らせ看板が掲げられ、その看板には、工事名「落合商店北上野ビル新築工事」、建築主「株式会社落合商店代表取締役落合次郎」、建築物の概要が表示されていた。秀郎は、前記4のとおり、地代取立てのため、本件土地周辺の借地人を訪れていたが、昭和五九年一〇月二日に本件土地付近に赴いたところ、本件土地に仮囲いがしてあり、旧建物は取り壊されていて、穴を掘っているところであったので、驚いて、落合方に赴き、落合に対し、「一体、どうなっているのか。」と詰問したところ、落合から買い取りたいとの申出があったので、秀郎(三吉の代理人)と落合は、本件土地(底地)を売買することになり、不動産鑑定士に底地価格を鑑定させて売買代金を決めることになった(その頃、秀郎は、三吉が死亡したときの相続税対策として、本件土地周辺の借地人らに対し、各貸地の底地の買い取りを申し入れていた。なお、三吉は昭和六二年八月八日死亡した。)。そこで、秀郎は、昭和五九年一一月一五日、不動産鑑定士に対し、前記3の賃貸借契約書を資料として、本件土地の底地価格の鑑定を依頼したところ、同年一二月一〇日七六八三万五〇〇〇円であるとの鑑定書が作成されたので、その頃、それを落合のもとに持参し、右金額或いは七〇〇〇万円での買い取りを求めたが、落合が昭和六〇年一月一〇〇〇万円でなら買い取ると言ったため、売買交渉は決裂状態になった。秀郎は、昭和五九年一二月二六日、昭和六〇年三月三〇日にも地代取立てのために本件土地周辺を訪れて、落合からも地代を集金した。しかし、その後は、落合のもとには地代の取立てに行かなくなった。

落合は、昭和六一年三月、税金の確定申告にあたり、秀郎に対し、昭和六〇年四月分からの地代の受領を求め、その際、本件土地を三五〇〇万円で買い取るとの申入れもしたが秀郎は同意せず、地代については同年三月中旬昭和六〇年四月分から昭和六一年三月分までの一年分として額面一四五万九二〇〇円の小切手(昭和五九年度の地代の二割増)を送付して支払った(なお、落合は右金額で合意したと理解していたが、秀郎は、公租公課の二割増で合意したと理解していて、送付された小切手金額はそれより少額であったが、他への売却を考えていたことなどからそのまま受領した。)。その後、更に、落合は、秀郎に対し、本件土地(底地)を七〇〇〇万円で買い取る旨申し入れたが、既に五十嵐孝に売却されていた。

本件建物の建築について、前記のとおり、秀郎が落合を詰問した他には、三吉側が異議を述べたり、工事中止の申入れをしたことはなかった。また、三吉側と落合側との間で、転貸(の承諾料)のことについて話し合いが行われたことはなかった。

6  三吉は、昭和六一年四月二八日、五十嵐孝に対し、本件土地(底地)を代金一億二〇〇〇万円で売却し、その後、昭和六二年六月一八日、原告は株式会社ジェー・ビー・シーから、転売を目的として、本件土地及び被告所有の本件建物を代金一五億九二〇八万円で買い受け、同日、原告は株式会社丸正に対し、これを代金二一億二二七八万円で売却した(本件土地の所有権移転登記は三吉から同社になされた。)が、本件建物の所有権を同社に移転することができなかったため、昭和六三年二月、「右売買契約を合意解約する。原告は和解金八億五八四一万円余を株式会社丸正に支払う。株式会社丸正は本件土地の所有権を原告に移転する。」旨の和解契約をし、同月、原告のために、本件土地につき、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記がなされた。

二争点1(一)について

被告は、三吉は昭和五九年七月頃落合に対し本件転貸について承諾した旨主張し、被告代表者の供述中には、この主張に沿う部分があるが、客観的な裏付けを欠き、にわかに信用できず、他に右主張の事実を認めるに足りる証拠はない。

三争点1(二)について

被告は、三吉は昭和六一年三月頃本件転貸について黙示の承諾をした旨主張するが、前記一1、5などに認定の事実によっては、この主張の事実を推認するに足りず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

四争点1(三)について

被告は、本件転貸について背信行為と認めるに足りない特段の事情がある旨主張するので検討する。

前記一1、2、4に認定の事実によれば、被告は、落合が、一代で築き上げた会社であって、経営・資本の両面で支配しており、被告は落合の個人企業と実質を同じくするものであるというべきである。また、前記一2、4、5に認定の事実及び後記六に認定の事実によれば、本件土地は、本件転貸前は被告が使用する旧建物(堅固建物)の敷地として使用されており、本件転貸後も被告が使用する本件建物(堅固建物)の敷地として使用されているのであって、本件転貸の前後を通じて本件土地の使用状況に格別の変更はないというべきである。

原告は、三吉と落合間の借地契約が非堅固建物所有目的であるのに本件転貸は堅固建物所有目的であり、背信性がある旨主張するが、後記六のとおり、三吉と落合間の借地契約は本件転貸当時は堅固建物所有目的であったのであるから、右主張は採用できない。また、原告は、落合は極めて低廉な地代に固執して適正な地代の値上げにも応じない悪質な借地人である旨主張し、<書証番号略>、証人秀郎の証言及び被告代表者の供述によれば、昭和五七年当時、本件土地の公租公課の方が地代より多額であったため、秀郎が、落合に対し、昭和五七年四月分からの地代の増額請求をしたが、落合は他の借地人並みにすることを主張して増額請求に応じなかった(その後、昭和五八年四月分から従来の地代の五パーセント増にすることの合意が成立した。)こと、昭和五九年当時の本件土地の地代は、不動産鑑定士の鑑定によると、異常に低いと評価されるものであったこと、昭和六〇年四月から昭和六一年三月までの地代について、秀郎が公租公課の二倍の金額を求めたのに対し、落合は昭和五九年度の地代の二〇パーセント増の金額の小切手を送付して支払ったが、右金額は公租公課に満たないものであったことが認められるが、三吉は、地代について、不満であれば、調停・訴訟という方法を講ずることもできたのであるから、右認定の事実をもって、直ちに背信性があるということはできない。

よって、本件転貸については背信行為と認めるに足りない特段の事情があるというべきである。

五争点2(一)について

被告は、三吉と落合間において、昭和四一年暮れ頃、本件土地の賃貸借契約について非堅固建物所有目的を堅固建物所有目的に変更する旨の合意が成立した旨主張するが、右主張に沿う<書証番号略>(被告代表者の陳述書)はにわかに採用できず、被告代表者の供述によってもこれを認めることができず、他に右主張の事実を認めるに足りる証拠はない。

六争点2(二)について

被告は、三吉と落合間において、昭和四二年一〇月三〇日頃(遅くとも昭和五九年)までに、本件土地の賃貸借契約について非堅固建物所有目的を堅固建物所有目的に変更する旨の暗黙の合意が成立した旨主張するので検討する。

前記一4に認定の事実によれば、旧建物は、実質三階建てで、重量物の保管や重量物を運搬するクレーンの設置運転にも耐えられるように、建物の基礎や一階部分の床にコンクリートを打ち、重量鉄骨造にするなど、耐久性、堅牢性、解体収去の困難性において、石造、土造などの建物と同程度のものと認められるので、堅固な建物というべきであり、これを覆すに足りる証拠はない。そして、前記一4、5に認定の、三吉側は、落合が本件土地上に旧建物のような堅固な建物を建築所有したことを知りながら多年異議を述べることなく地代を受領してきた事実、三吉側は、落合が旧建物建築の頃から本件土地の賃貸借契約について堅固建物所有目的になったと公言していることを知りながら、放置してきた事実、昭和四二年当時から本件土地を含む周辺の土地は防火地域・商業地域に指定されている事実、本件土地上に堅固建物である本件建物が建築されつつあることを知り、しかも昭和六〇年一月の時点で本件土地(底地)の売買の話が決裂状態になった後でも、三吉側は落合に対し本件建物の建築が用法違反であると指摘したことはない事実などに、借地法七条の規定の趣旨からすると、借地契約が非堅固建物所有の目的のものであっても、借地権者が、非堅固建物を取り壊し、その跡に堅固建物を建築したにもかかわらず、地主が遅滞なく異議を述べないときは、借地契約は堅固建物所有を目的とするものに変更されると解するのが相当であることを考え合わせると、旧建物が完成した昭和四二年一〇月三〇日頃(遅くとも昭和五九年)までに、三吉は本件土地上に堅固建物である旧建物を建築することもやむを得ないものとして黙示に承諾しており、したがって、三吉と落合との間において、本件土地の賃貸借契約について非堅固建物所有目的を堅固建物所有目的に変更する旨の暗黙の合意が成立したものと認めることができる。

原告は、昭和通りの拡幅のため土地が買収された際、三吉と落合との間で、争いがあったので、三吉は、賃貸借期間を二〇年間、使用目的を非堅固建物所有目的であることを明確にした土地賃貸借契約書(<書証番号略>)を作成したが、その後借地条件を変更した新たな契約書は作成されていないこと、三吉側は落合に対し昭和四六年頃から更新の時期が到来したとしてしばしば更新の交渉を求めていたこと、三吉側は、旧建物は、軽量鉄骨の木造の部類に入る建物であり、非堅固建物であると理解していたこと、三吉と落合との間において、借地条件を堅固建物所有目的とするについての承諾料の授受がないことからしても、三吉と落合間において本件土地の賃貸借契約について堅固建物所有目的に変更する旨の合意が成立していないことは明らかである旨主張する。しかし、堅固建物所有目的になった契約書が作成されていないことから、直ちに暗黙の合意も成立していないとはいえない。また、証人秀郎は、更新に関し、右主張に沿う証言をするが、客観的な裏付けを欠き、にわかに信用できない。さらに、証人秀郎は、旧建物に関し、右主張に沿う証言をするが、<書証番号略>、被告代表者の供述に照らし、信用できない。更にまた、非堅固建物所有目的を堅固建物所有目的に変更することの承諾料の授受なくして右変更の合意が成立することもないわけではないから、承諾料の授受がないからといって、右合意がないとはいえない。原告の前記主張は採用できない。

よって、落合には用法違反がないのであるから、原告は、これを理由として原告と落合間の本件土地についての賃貸借契約を解除することはできない。

七結論

以上によれば、原告の請求は理由がない。

(裁判官山口博)

別紙物件目録<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例